介護施設の感染症対策の基本は、施設で働く職員の感染を防ぐことです。感染症が介護施設内で流行する場合、感染症にかかった関係者から二次感染が起こり、介護施設内に広がっていくのが普通です。介護施設に立ち入る人は利用者、利用者の家族、出入り業者など数多く、感染症対策をお願いすることは簡単ではありません。しかし、介護施設で働く職員であれば、しっかり指導することも可能なので、まずは職員へ感染症対策を呼びかけるところから始めてください。
職員がプライベートで感染してしまい感染症を介護施設に持ち込む事例は多く、しっかり手洗いを指導することは必須です。手洗いに意味があるのかという疑問を感じられるかもしれませんが、普通の水道で15秒ほど手を洗うだけでも、手に付着するウイルスの数は1/100程度にまで落ちますし、石鹸を使ってじっくりもみ洗いを行えば、ウイルスを限りなく減らすことも可能です。もっとも、感染力の強い感染症の場合、手洗いのみで予防できるとは限らないので、マスクの着用を心がけてもらうことも重要です。マスクなしだと、感染症にかかった人が咳やくしゃみをした際、飛び散った飛沫から二次感染が起こる可能性が高いので、介護施設でのマスク着用は欠かせません。
そして、介護施設内で感染症の患者が出てしまった場合、感染を広げないための対策を徹底することも大事です。ノロウイルスなどが原因で患者が嘔吐した場合、それを処理しようとした人が感染してしまうというのは、よくある定番の感染ルートです。消毒薬を使用する、ゴーグルや使い捨ての手袋を着用するといった対策を行った上で、処理を行わなければいけません。