高齢者にとって危険な季節として挙げられるのは、冬です。例年、冬に流行するインフルエンザにかかり、重症化して亡くなってしまうケースは珍しくはありません。しかし、体力や免疫力が落ちている高齢者の場合、冬以外の季節が安全というわけではなく、冬以外に流行する感染症にかかると、重篤な症状を引き起こす恐れがあります。近年、夏はとてつもない暑さを記録することが多く、体力を奪われやすいので、夏は高齢者にとって意外と危険性が高い季節です。
夏場に流行しやすい感染症の代表格がレジオネラ肺炎で、こちらはレジオネラ菌の感染により引き起こされます。発熱程度で済む場合もあるものの、内臓にダメージを与える厄介なタイプの肺炎が引き起こされるケースも多く、高齢者にとって非常に危険な感染症です。女性より男性の患者が多い、若い世代より50歳以上の患者が多いという特徴を持っているので、男性の高齢者を介護する家族や介護職員は、感染予防に力を入れてください。
レジオネラ菌は感染力が強いわけではなく、手洗いなどの基本的な対策で十分予防可能です。ただし、加湿器や循環ろ過するタイプのお風呂はレジオネラ菌の温床となることがあります。このような、レジオネラ菌が増えやすい場所の清掃をしっかり行うことは、高齢者を守る上で必須です。レジオネラ肺炎は、抗菌薬による治療が可能ではあるものの、投薬が遅れると命に関わってくる恐れもあるので、夏場に高齢者が体調を崩した場合は、すぐに専門家に診てもらうようにしてください。