高齢者は、免疫力の低下によって感染症にかかりやすくなります。その主な感染経路は3つあり、病原体によってはその中の複数の経路で感染するものもあります。まず1つめの感染経路は、「接触感染」です。接触感染は、病原体を含んでいる吐物や便などに触れたり、病原体がついているものを触った手や指で口や鼻などを触ることで感染します。これによって感染する主な感染症として挙げられるのは、尿路感染症やヒセンダニによる疥癬、白癬菌による水虫などがあります。有効な予防法としては、「触れる際には必ず手袋やビニールエプロンを着用する」「感染部位を清潔に保つ」「おむつの交換は手早く」「手指の消毒や手洗いの徹底」「タオルの共有はしない」などがあります。
2つめは、「飛沫感染」です。感染者の咳やくしゃみによって飛び散った病原体を含む飛沫を吸い込んだり、目から体内へ入るなどして感染します。この経路で感染する主な感染症は、インフルエンザや風疹、新型コロナ、肺炎、風邪などです。飛沫感染を防ぐためには、マスクやゴーグル、フェイスシールドなどを使用することが効果的です。飛沫から目や鼻や口を覆って守り、病原体がついたり吸い込んでしまうのを防ぐことが重要となります。
3つめの感染経路は、「空気感染」です。病原体を含んだ飛沫が乾燥することによって空気中に漂い、空気の流れに乗って空間に広がったものを吸い込んで感染します。この空気感染によって感染しやすくなる主なものは、結核や麻疹、水疱瘡などです。空気感染を防ぐためにはマスク以外に、感染者を隔離したり、感染者と同じ空間にいた人を速やかに検査することが有効です。