高齢者は若い人と比べて免疫力が低い傾向にあります。身体機能や認知機能と同様に、免疫力も老化の影響を免れることはできないからです。免疫力が低いということは、それだけ感染症などの病気にかかりやすく、回復までに時間がかかり、さらに重症化しやすいといったリスクがあります。そもそも免疫力を簡単に説明すると、細菌やウイルスなどの異物を体から排除する免疫機能の強さを表現したものです。免疫力が高ければ、免疫機能が強いということであり、異物から体を守る防御力が優れているということになります。
免疫力の強さを左右する免疫機能には、大まかに2種類あります。1つは自然免疫で、白血球などの体内の免疫細胞が働いて、体から異物を排除する免疫機能です。もう1つは獲得免疫と言って、侵入してきた病原菌に合った「武器」を作って攻撃する免疫機能です。獲得免疫のおかげで一度かかった病気には耐性がつくため、その病気にかかりづらくなったり、かかっても重症化しづらくなったりするのです。まるで予防接種をしたときの効果みたいですが、まさに予防接種は獲得免疫を活用したものなのです。
しかしながら、こういった免疫力というものは加齢により衰えてしまいます。免疫力が衰えてくると、若いころであればかからないような病気にもかかりやすくなり、また軽い病気だったのに、他の病気との合併症となってしまったり、重症化して重篤な状態になってしまったりといったリスクが大きくなります。